クメウ・リヴァー|Kumeu River

クメウ・リヴァーはニュージーランドの北島、オークランドから北西へ約20キロに位置するワイナリーである。

1938年にユーゴスラビアからニュージーランドに移住したブラコヴィッチ夫妻により、1944年に設立されたのがクメウ・リヴァーの全身である「サン・マリノ・ヴィンヤーズ」である。もともとポートやシェリーなど酒精強化ワインが主だったニュージーランドの地に、初めて辛口赤ワインを作ったり、ニュージーランド初のシャルドネの栽培に成功したのがこのマイク・ブラコヴィッチ氏である。

1949年にマイク氏は亡くなってしまうが、婦人のケイト氏と息子のマテ氏によりワイナリーは継続された。1958年にマテ氏はメルバ氏と結婚し、4人の子供たちも共にワイナリーで働き、サン・マリノ・ヴィンヤーズはニュージーランドで最も歴史ある家族経営のワイナリーの一つとして知られている。

そしてワイナリーに転機をもたらしたのは、息子の一人で現在ワインメーカーを務めるマイケル氏の存在である。1981年にローズワーシー・カレッジを首席で卒業後、世界中のワイン産地をめぐり、かの「J.P.ムエックス」をはじめとする多くのワイナリーで研鑽を積み、ファミリーのもとへ戻る。彼を柱として、1986年にデイリーワインから高品質ワインへの生産路線の大変革を行い、ワイナリー名を「クメウ・リヴァー」と改め、ドラマティックな変貌を遂げる。

翌1987年ヴィンテージは路線変更後、いきなりスペクテイター年間TOP100にて63位に選出される。これは当時のニュージーランドワインとしては異例の出来事であった。1989年にマイケル氏はニュージーランド人で初めてのマスター・オブ・ワインの資格を得るなど著しい成長を遂げた。1992年にマテ氏は亡くなってしまうが、1994年ヴィンテージにて、1996年の同ランキング6位に選出され、ニュージーランドワインとしての偉大なる快挙を達成する。

クメウ・リヴァーの畑は、粘土質の重い土壌が砂岩質の軽い土壌で覆われている。その為、奥深い部分でも夏の間に十分な水分を確保できる。さらにブドウの根がそれを求めて自然に長くなることにより、ブドウが必要な養分だけを取れるようになり、樹勢を自分でコントロールすることができるという理想的な状態になっている。また、その土壌のおかげで一切の灌漑を必要としないというのもこの畑の特徴の一つである。

畑はニュージーランドのブドウ栽培地域の中でもかなり北に位置する。ニュージーランドは南半球の為、通常北に行くほど気温が上がりやすい。しかしこの地域は、タスマニア海と太平洋の二つの海の影響で、夏の最も暑い時期でも気温が30℃を上回ることがない。それ故にシャルドネやピノ・グリを素晴らしい状態で栽培することができている。もちろん、それに合わせて、冷涼な気候でありながらも北の日照量から生まれるピノ・ノワールやメルローからも素晴らしいワインを生産している。