ニュージーランド6日目
ニュージーランド6
[クイーンズタウンの朝]
朝6時に起床。家族の眠りを妨げないよう抜け出して雨上がりのクイーンズタウンの早朝を1人で散歩して湖を眺めてからファーグバーガーに向かった。
今回はクライストチャーチから南下したが本当はクイーンズタウンから北上するほうがいいかもしれない。美しいと有名なクイーンズタウンのはずが、壮大なレイクテカポやアオラキマンウントクックをじっくり見た後だと山々や湖もなんだか見慣れた景色に見えてしまう。クイーンズタウンから景色をスタートしてればもっと段階的に喜びを得られたような気がした。(次回はさらなる絶景世界遺産ミルフォードサウンドまで行ってオーバーナイトクルージングをしてみたい)
朝一のファーグバーガーは5名ほどすでに並んでいた。隣のファーグベーカリーでフラットホワイトを買って様々な言語で話している人種の方々と共にバーガーを待った。20$以上のものはあまりなく、比較的リーズナブル。これだけの有名店ならばシステム化してガンガン値上げして、もっとお金儲けは簡単なはずだがそれをせずに信念を持って真面目にやっているのを注文前から感じた。
パリっと焼かれた歯切れが良いバンズがジューシーで肉感がある臭みのない新鮮なビーフパティを完璧にホールドしてあり、全くズレない。一口食べると飲み込む前に次をかじってしまうくらい夢中になってしまう美味さだった。そして朝から食べても罪悪感のない爽やかなフィニッシュ。
昔からバーガー好きで東京でも有名店は一通り巡った僕ですが、同じタイプを経験したことはない。どこまでもシンプルなのに唯一無二。これを食べる為にクイーンズタウンにまた来たいと思わせる一品でした。
[平坦ばかりではないワイナリー巡り]
既に喜ばしい気分にひたり、昨日の雨を忘れるほどの快晴の中クイーンズタウンの坂を登りギブストンバレーワイナリーに向かった。車で30分ほど。
チーフワインメーカーのクリスさんがリンゴをかじっている8歳の息子さんと迎えてくれた。クリスさんは奥様が日本人でほんの少し日本語が喋れた。ユーモア溢れる紳士で話すだけで好きになるような人だった。天然の岩盤をくり抜いて作った巨大なカーブへ向かい今日試飲するワインをあれこれ選んでくれた。畑の真ん中にある彼のオフィスに試飲するワインを置いて、絞り途中のシャルドネジュースを飲んだり、発酵中のPNを見せてもらった。太陽光がよくあたる丘の上に温度管理をしていない発酵槽がありその年の気候に従った自然なワイン造りをしていた。
目の前の畑にはリースリングやシャルドネ、1番最初の1983年のPNの木があり全て鳥よけネットが綺麗にかかっていてブドウを取り出すことさえ少し難しかった。リースリング以外のブドウは糖度が上がり、収穫を間近に控えた感じだった。小ぶりで種が大きく山葡萄に似た房だった。
2012年から最新ビンテージまでのグレンリーPNと畑違いのPNとCHを試飲した。
日本ではこれだけビンテージ違いのものを同時に試飲する機会はないので飲む前から興奮していた。わざわざ全て新しく開けたてのワインを飲ませてくれた。後になって思うと僕しかいないのにここまでしてくれたのは流石に申し訳ない。それぞれの違いをはっきりと感じることができて、その年や土地に対して真剣に向き合い自分達ならこの年のブドウをこうしたい!っと言った信念をピュアな仕上がりのワインから感じだ。あれこれやっているとあっという間に時間になってしまった。一日中いたい場所だった。
次のワイナリー ドクターズフラットへの道は全くフラット(平坦)では無かった。電波が入らないほどの山を超えて40分ほどかけて指定の住所に到着。しかしそこに看板も何も無かった。少し丘を登ったところに葡萄畑がありワイナリーの気配だけを感じて、電話をかけて道案内をお願いしたが、難しくて分からなかった。今一度あたりの道をぐるぐる回って、またさっきの畑へ戻り恐る恐る農道を走っていくと小さな家がぽつんと見えた。手を振る方がワインメーカーのスティーブさんだった。
室内はアートがたくさんあり、無機質な建材で建てられシンプルに洗練されたアトリエのような空間だった。そこでひたすら地質や土地の歴史の話をしてくれた。しゃべりが早いアンド知らない単語連発で分からないことだらけで申し訳なかった。日本のお客様の反応やワカヌイでの販売状況を伝えるととても嬉しそうにしてくれた。何年かおきにボトルデザインを変更しており、次回はブラックボトルになるとのこと。デザインがどんどんカッコよくなっていって素晴らしい。夜飲むワインないなら持って行きなとワインを持たせてくれると彼は靴を履き替え颯爽とトラクターに乗りこんで忙しそうに去って行った。
ギブストンバレーのPNを飲んだ直後だとドクターズフラットはかなり濃縮感が高い仕上がりになっていると気がついた。バノックバーンは日当たりによっては力強いPNをつくることができ、その産地個性からセントラルオタゴのサブリージョンの中で唯一G I(地理的表示)になっている。そのわけをここで実感した。
【キャリックランチ】
すでに15種類ほど試飲している為若干フラフラしながら次のキャリックに向かった。到着すると目が覚めるほど美しい眺めのレストランへ案内されそこでランチを頂いた。ワカヌイに2月に来たAJさんが空いてる全てのワインを少しずつ試飲させてくれた。ロゼ、リースリング2種、シャルドネ、オレンジワイン、ピノグリ、ピノノワール4種、
食事は正直言って昨日のディナーより美味しかった。イノベーティブな料理がベースとなりキャリックのワインを美味しく飲ませる工夫が素晴らしかった。メインはダックの胸肉にカカオのような香りのソースで合わせたもので初めて飲む自然派ピノ・ノワールとの相性は抜群だった。
外には庭がありその丘の下には湖。その斜面にそって一面にタイムが自生していた。(そのタイムの花の蜂蜜も素晴らしい)たまたま昨日行ったレストランのスタッフが来ており、昨日担当してくるたウエイターがテンション高めに駆け寄ってきて偶然の再会に驚いた。
その後のことはほぼ覚えていない。
気がつくと車内で寝ていてもう日暮れ時だった。
飲み過ぎには気をつけたい。
明日はついにマタカナプロビダンスへ!
おわり