ニュージーランド5日目

ニュージーランド5
[クイーンズタウンへ]
翌朝は細かい霧雨が山々を覆い隠してマウントビューの部屋の意味がまるで無かった。昨日は芝生でじっとしていたうさぎもどこかに行ってしまった。現地では害獣呼ばわりされるうさぎ達だが観光客には嬉しい客人だった。
朝食のビュッフェを食べている時に光が差し込み徐々に霧が晴れて山が徐々に姿を見せていく様は例え用のない美しいさで天候の乱れに感謝した。虹が生まれる瞬間を眺めながらチェックアウトしてクイーンズタウンへの3時間のドライブが始まった。
「道なりに60キロです」と音声ナビが言った時は笑った。ナビがほぼ必要ないほどの一本道が続いていた。
セントラルオタゴに入ると左手に翌日行く予定のギブストンバレーがあり、その他にもワイナリーが点在しているのを見てそれまでの荒野ではない葡萄畑の風景に興奮した。その先にクイーンズタウン空港がありもう一山登るとワカティプ湖が広がりいよいよクイーンズタウンに入った。 
クイーンズタウンは古くからの観光地及び別荘地でビクトリア女王に相応しい美しい場所という意味でこの名がついた。様々な湖や山を生かしたアクティビティがあり、バンジージャンプの発祥地とも言われている。バンジージャンプで有名な橋もトイレついでに見学したが、巨大なスクリーンで実況されていて落ちる人も見る人も楽しめるエンターテイメントになっていた。街を日本で例えるなら軽井沢に少し似た雰囲気。
[国鳥キウイについて]
そんなワクワクの人々を横目に僕らはチェックインを済ませて真っ先にキウイパークに向かった。キウイパークはゴンドラ乗り場の麓にある施設で、希少動物の保護を目的とした個人資本の小規模動物園だ。ニュージーランドの鳥達が限りなく自然に近い状態で展示され様々な原語での音声ガイドが詳しく説明をしてくれる学べる施設になっている。すでにキウイファンになっている娘がゴンドラには興味ないからここだけは行きたいとのことで選んだ。入場料が1人5,000円だったことに出来るだけ動揺しないようにエントランスを潜り、NZの原生林を守る園内を散策した。
キウイというニュージーランド固有の鳥は国を象徴する鳥であり、彼らの愛称としても使われるほどに愛されている。ワイルドキウイは非常に少なく、夜行性ということもあり野生ではほぼ見ることは不可能らしい。その為こちらの園ではキウイ達の生活時間を逆転させて(夜にライトアップして昼のように、昼は暗くして夜のよう)通常の時間に暗闇の中で活動的なキウイを観察できるようにしている。
キウイは特殊な鳥だ。体は丸ぽく一見すると羽は見えない。体毛は尖った髪の毛のようで、くちばしの先端付近に鼻があり鼻をヒュンヒュンいわせながら歩き回り餌を探しまくる。体温が普通の鳥より2度低くて哺乳類に近い。体に対して恐ろしく大きな卵を産みオスが80日間守りきってから羽化、寿命は60年から100年になるものもいるらしい。
元々天敵がいないので可愛らしい呑気な姿になったが、今は外来のオコジョやイタチなどの天敵がわんさかおり絶滅危惧種になってしまった。
この施設では大きく育ったキウイを自然に帰す活動をしており、飼育場の土も木も岩も餌の生きた虫さえも全てニュージーランドの原生のものを使っている。昼夜逆転している彼等を自然に帰す時、時差ボケはないのかと心配になった。
帰りに2匹目となる鳴き声をだすキウイのぬいぐるみを買ってアイスリームを食べて街を散策した。有名なファーグバーガーはこの時長蛇の列で並ぶ気になれなかったので、比較的空いている朝1番の時間に再チャレンジすることにした。
[クイーンズタウングルメ]
その後エリックスフィッシュ&チップスに行った。魚の種類、芋の種類が細かく選択できてカスタマイズできるスタイル。僕はフィッシュ&チップスで最良とされるブルーコットと言う魚をを試してみが、これは流石の美味しさで白身の厚みとしっとり感は他の魚ではなかなか出せない。鱈に近いがもっとプリっとした感じ。
ディナータイムは1ヶ月以上前に予約していたボツワナブッチャッリーというレストランに行った。ボツワナはNZにはオークランドとクイーンズタウンあり、オーストラリアにもいくつかあるレストランで中々評価が高かく、価格帯もワカヌイに近い感じだったので視察も兼ねて選択した。20時15分に予約し、店内はど満席で多いに賑わっていた。
前菜はブラフオイスター、ダックレバーのソテー、カリフラワーの丸ごとロースト、メインは骨付きラムショルダーの低温ロースト1.2kにクマラフリットを付けた。他にも面白そうな料理がいっぱいあったが量的にこのくらいが限度。(結局お腹いっぱいになりすぎてデザートまでいけず) 
初めて食べる時期限定のブラフオイスターは小ぶりで平たいカキで日本に似た種類はない。一見すると正直言って美味しそうには見えないが、口に入れると臭みや雑味が全くなく後味はどこまでもミルキーでピュア。確実にワインが進む。ダックレバーは状態がよく新鮮な感じ、火を通し過ぎず仕上げて甘辛いソースで合わせていた。 
メインはインパクトはあった。しかし、低温ロースのはずがちょっとパサつきがあり食べ疲れを感じた。塩気がボヤけており、ついてくる2種のミントソースとバーベキューソースをかけてもまだのってこない。
おそらくあらかじめ火を通しているのを再調理しているようで、メインはオペレーションに傾いているように感じた。やはり一つ一つ丁寧に肉を焼くワカヌイのような真剣な愚直さが人を感動させる。
店内は満席でウエイターは足りていないようだったが、担当の方は常に現れて大丈夫?楽しんでる?毎回聞いてきた。忙しくても気にかけることのアピールは素晴らしい。
ワインはグラスの種類が多すぎてビビったと同時に安くても24ドル以上なのはさらにびっくりした。普通に飲んだら1人2杯で10,000円超える、、明日からはワイナリー巡りがはじまるので控えめにして、前菜でレバーに合わせてドライなゲベレツトラミネールとメインでは地元セントラルオタゴのサブリージョンアレクサンドラのPNをグラスで頼んでみた。グラスの品種や産地が多様で少人数でも楽しめる感じのリストだった。
この日は祝日だったので15%の上乗せがあり会計は400$ほど(NZでは祝日に働いたスタッフに1.5倍の給与を払う法律があり会社組織の飲食店では会計に10から15%ほどのせるのが通常らしい)
店を出ると外は土砂降りとなっていた。
タクシー呼ぶよと言われたが断って折りたたみ傘に3人で入って歩いて帰った。クイーンズタウンはコンパクトな街でタクシー呼ぶのも申し訳ないほどの距離に全てが集中している。
この日は早めに寝て朝一のファーグバーガーに備えた。
おわり